我輩は猫妖精である

『基本』の『†初めに』には目を通す事!
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    何故(深夜の広場、前日談)

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      通路は思っていたよりも複雑だ。
      まるで巨大な迷路のようになっている。

      「せっかく隙をついて逃げたのに…」

      このままでは捕まるのも時間の問題だ、とぼやきながらも前へと進む。
      何処から奇襲を仕掛けられるか分かったものではないと、自然に速度を速めている事に気付いた。

      (…何ビビってんだ、俺。しっかりしろっての…)

      自身に檄を飛ばす。

      しかし、思いとは裏腹に足が進まない。
      ダメージがじわり、じわりと少年を追い詰める。





      「……全くワケわからん…」

      歩けど歩けど、出口に辿り着かない。
      もはや出口に向かって歩いているのかさえ分からない。

      「…」

      降参するフリをしてどうにか脱出出来ないものか…。
      頭を捻るが、手強い敵が多過ぎる。賢い方法とはいえない。

      兎に角、とりあえずは休憩。
      ふらふらと柱へ体を預ける事にして、後は回復次第に通路を壊して回ろうと一息ついた。

      ただ座り込んだだけなのに、急に物凄い睡魔に襲われる。
      歩き回りはしたが、自分はそれほど疲れきっているともいえない。

      となると、答えは一つ。

      「…罠、か…」

      とろんとした目の揺らぐ視界の隅に、男がちら、と映る。
      「あぁ、やっぱり罠か」なんて悠長に考えたのを最後に、少年は崩れ落ちるように地面へと横たわった。

      「……捕まえた。俺の勝ちだ…」

      ゆっくり歩み寄り、少年に触れて呟く。
      にやあ…と口元を歪ませ、少年を担ぎ上げて広い屋敷内へ向かう。

      男は眠りの魔術を使って少年を捕まえた。
      卑怯な手段を使ってまでも捕まえたかったのだ。

      「なかなか珍しい毛色の獣人だ。さぞ良い値で売れるだろうな」

      低い笑い声を漏らしながら、男は少年を手下に用意させた檻へとぶち込んだ。
      背中に走る衝撃で目を覚ました少年は、鎖で繋がれて身動きが取れない事に気付く。

      「な、何だコレ?!」

      噛み付いても、爪を立てても壊れない。獣人用の鎖らしい。

      「…負けたお前は俺の言う事を聞く。追加ルールだ」

      苦々しい表情をする少年に、男は言った。

      「は?追加ルールって…、俺聞いてねぇ!」

      唖然とする少年に、男は楽しそうに答える。「今さっき追加した」と、意地の悪い笑顔を浮かべた。

      「そうそう、お前は闇オークションにかける事にした。珍しい毛色と目の色だしな」

      さら…と少年の髪を弄び、くっくっと笑う。
      少年は怒りの色を表にして、歯を食いしばる。

      「ゲスが…!」
      そんな少年を見下ろして、男達は去って行く。
      明日の闇オークションの準備をする為に。

      「くそっ、くそっ、くそォっ!!」

      鎖を攻撃してみても、ガシャガシャと大きな音を立てるだけで、びくともしない。
      悔しくて、悔しくて、唇を噛んだ。

      つくづく自分はまだ未熟だと思い知らされる。

      「…浅薄…」

      軽はずみな行動が、今の自分に降り懸かる事ぐらい簡単に予測できた筈だ。

      しかし、過去は変えられないが、未来は変えられる。

      (なら、ば)

      事態を冷静に考えて、まずは出来る範囲の事から考えよう。
      ジャラ…と揺れる鎖を観察する。

      どうやら、頑丈な鎖に繋がれてはいるが、絡まっている所さえ何とかすれば檻を壊す事が出来そうだ。

      鎖を解き、檻を切り裂いて部屋を出る。
      頭を冷やして行動してからは、難無く事は進んだ。

      残る問題は、どうやって逃げ切るか。


      「……鬼事は、まだ終わってない…」

      じっ、と窓を見つめ、

      「…逃げ切れば、勝ち…」

      走り出す。


      ガシャーン!

      窓を破って飛び降る。
      無数の破片の雨が降り注ぐが、気にせず走る。

      (足を止めたら負けだ!)

      ぐんぐん小さくなる屋敷から、必死になって街を目掛けて突き進む。



      騒ぎを聞きつけた男達が部屋へと駆けつけたが、月明かりが破壊された部屋の中を照らすだけ。

      「…小癪な…!お前等、アイツを逃がすな!…死なない程度なら何をしてもかまわん…!」

      吐き捨てるように、手下達に命令する。

      急いで散らばって行く手下達を尻目に、男は酷く昂揚していた。

      「…今まで欲しいモノは何でも手に入れてきた、この俺が…」

      くっくっくっ、と肩を揺らして笑う。

      「…たかが餓鬼一人、手に入れられないとは…、頗る愉快だ。……絶対に手に入れてやる…!」

      男は哄笑していたかと思えば、すっ…と欲望に塗れた態度へと変える。

      犠牲を出しても手に入れる。それがこの男なのだ。
      少年はダークシャークに、男に、捕まるまで永遠と追われる事となるのだろう…。

      厄介な相手に気に入られた事など知らない少年は、迫り来る追っての攻撃に耐えながら街を目指す。

      ぐしゃぐしゃのボロ雑巾のようになった少年は、漸く公園へと辿り着けた。



      ―そこから、運命の歯車が軋みを立てて回りだしたのだ―







      ―表の物語には綴られなかった裏の物語―
      本が綴った裏話―inside story― | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | - |

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