我輩は猫妖精である

『基本』の『†初めに』には目を通す事!
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    何故(深夜の広場、前日談)

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      ―俺が、一体何をした?―


      突如呼び出した相手を睨みつける。
      薄暗い部屋故に表情は分からないが。




      (仕事は言われた事をした、結果も良好。…何かあるか?)

      そんな事を考えながら、今回仕事を依頼してきた相手の部屋に入った。後ろ手でそうっと扉を閉める。

      「まだ何か用事でも?」

      少年は素っ気なく言い放つ。

      それもそうだろう、今日はもう報酬も貰い終わり、後は帰るだけだったのだ。
      なのに至急部屋に来るように呼ばれたのだ。
      また報酬金額の引き下げだろうか、なんて思いつつも依頼してきた男を見る。

      「仕事が終った所ですまないな、次の仕事ができたからそれもしてくれないか?」

      薄暗い部屋を照らす頼りない蝋燭。
      男の言葉が部屋へと染み込んで消えていく。

      (なんだ、そんな事か)

      軽く肩をすくめて、答える。

      「値段は倍以上だ。それでも良いなら、話しだけでも聞こうか?」

      あくまでも聞くだけ。
      やるかどうかは自身で決めるのだ。

      「…金なら好きなだけやろう。ただし、聞くなら断る事は出来ないぞ」

      ぼそりと呟いた男に、一瞬目を大きく見開く。
      そこまで言うからには、かなりリスクの高い仕事になるであろう事は今までの経験上で分かっている。

      「…内容は?」

      少しだけ興味が沸いた。
      最近の仕事はやり甲斐が無いのだ、少しくらいリスクを負っても良いかもしれない、と。
      しかし、尋ねた途端に少年は言いようの無い危機感を感じた。獣のカンが察知したのだ。

      男がうっすらといやらしく口角を上げるのを見た時、少年は確信した。

      ―聞かぬまま断れば良かった―

      嫌な汗がじっとりと肌を湿らす。何か自身の手に負えないような事になりそうだと身体が危険を知らせるも、少年の好奇心がそれを上回る。

      「…どうした?早く話せよ。それとも、俺に全財産持ってかれるのが怖いか?」

      にやり、と挑発的な笑みを浮かべて男を煽る。

      それを聞いた男はゆっくりと椅子から立ち上がり、ゆらり、ゆらり、と歩いて少年へと近寄る。
      不気味、としか言いようがない。

      身構える少年の肩に軽く手を乗せ、耳元で囁く。

      「屋敷内で鬼ごっこしよう」

      男の熱っぽい息が耳に掛かり、不愉快窮まりない顔で睨みつける。

      「馬鹿か、てめぇは。鬼ごっこなんざ…っ?!」

      ハンッと鼻で笑い悪態をついた少年の言葉を遮るように、男が少年の口を手で塞ぐ。

      「ルールを説明してやるから黙って聞け」
      男の行動に、反射的に愛剣を抜きそうになったが敢えて堪える。
      男からルールを聞くだけ聞いて、さっさと終わらせようと温和しくする事に。

      「…ルールはいたって簡単だ。お前は屋敷の中を逃げ回り、脱出する。屋敷内の物を盗んでも構わない。俺達はお前を捕まえる。
      どうだ?簡単だろう?」

      手を放して、温和しく話しを聞いていた少年に不気味な笑みを向ける。

      「…それってずるいだろ。一対一にしろよ。」

      文句をつけたが「だから屋敷内の物をやると言った」と言われてしまい、渋々了承する事に。

      少年が了見を飲み込んだのを確認してから男は

      「では、今から始める」

      と言い終わるが早いか、行動が早いか、少年に掴み掛かった。

      「てめっ!反則技だろ!!」

      攻撃を軽々躱し、部屋の扉を破壊。
      そのまま屋敷内の配置を頭に叩き込む為に、走りに走った。

      厄介な術を使う者、一撃の破壊力が高い大男、色々と罠を仕掛ける奴…次々と現れてキリが無い。

      「報酬諦めて帰ろうかな。うん、そうしよう」

      たんまりと財宝を盗んだし、何より飽きたらしい。
      ついさっき見付けた隠し通路へと足を運ぶ事に。

      「…流石に此処まで来ないみたいだな」

      隠し通路に素早い身を隠すと、入口を閉めて壁に耳をあてる。
      少年を追ってきたのであろう複数の足音が通り過ぎて行く。完全に聞こえなくなってから安堵のため息をつく。

      「全く、とんでもない仕事だな…」

      自分で決めた事だけに、文句のつけようがない。

      気合いを入れ直して再び行動をしようとしていたら、不意に後ろから気配がして愛剣を抜く。

      あと数秒遅れていたら、相手の剣に頭部を斬られていただろう。

      「…なかなかだ。けど、甘い…!」

      漆黒の闇に紛れて見えない相手の胴体にパンチを一発食らわせる。確実な手応えがあった。
      相手の剣を受け止めた際にだいたいの体格を見当し、カンでの攻撃。リスクは大きいが、賭ける価値はある攻撃法である。

      「ぐ、お…!?」

      声を聞き、直ぐにあの男の物だと分かった。なかなかの腕前なので警戒。
      相手の気配を探りつつ脱出路確保の思案を始める。

      「…難しいな…」

      相手はこちらの事情を知るはずもなく、攻め立てるように攻撃してくる。
      何とか攻撃を躱すも通路が狭すぎて回避しきれない。

      (上手く隙が出来れば…!)

      少しずつダメージを受けながら、相手の隙を待つ。
      逃げ切れば良い為、余計な行動を極力しない方法を選んだ。
      本が綴った裏話―inside story― | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | - |

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