我輩は猫妖精である

『基本』の『†初めに』には目を通す事!
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    光と闇

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      「にゃふー…。今日も疲れたぁ」

      湯舟に浸かり長いため息をつく猫少年。
      黒猫は専用の湯舟で気持ち良さそうに目を閉じている。

      猫少年は今し方仕事から帰って来たばかりで、お疲れモード。

      「裏の仕事はスリムあって楽しいけど、あまり安心できるもんじゃないよね…」

      ついつい愚痴がこぼれ落ちたりもする。

      『自分で選んでおいて、それはないだろう』

      「う…、それは…そうなんだけど…」

      正論を突いてくる黒猫に、猫少年はぐうの音も出ない。
      垂れてくる長い髪を欝陶しそうに掻き上げて、またため息をついた。

      「でもさ…裏(こっち)側しか得られない事もあるんだよ。…だから……真っ当には、…」

      沈黙。
      暫く間を置いて、黒猫は言う。

      『…それもお前次第だろう?』

      待っててくれている奴もいるんだ、忘れるな。と、短い黒猫の言葉。
      猫少年はゆっくり目を伏せる。
      分かっている。と。

      『…温くなってきた。変えてくれ』

      「…はいはい、今変えるよ」

      クスッと笑い、黒猫の湯舟を新しい湯に変えてやる猫少年。
      黒猫はまた専用の湯舟に滑り込む。

      不器用な黒猫(彼)なりの、気遣い。

      「ねぇ、表(あっち)側でも仕事をしてる理由話した事あったよね」

      『ああ、一度だけ聞いたな』

      「それなんだけど…昔とは少し考え方が変わったんだ」

      そこまで言い、一度口を閉じた。
      黒猫は続きが気になるとばかりに猫少年を見上げる。
      黒猫と目が合えば意地悪く笑い、再び口を開いた。


      「昔は、ただ右も左も、表も裏も知らなくて情報に飢えてた。だからがむしゃらに働いてたわけ。情報を得る為にはお金がかかるし。
      だけど、今は綺麗なお金を残しておきたいなって思うようになったんだ」


      (だって、友達と買い物とかしたいからね。
      汚れたお金じゃ、悪いでしょ?)

      全部言わなくても黒猫には十分伝わっていた。
      フッ、と口の端を上げて笑ったのはそのためだ。

      『それなら…、……いや、野暮か…』

      「…『何故裏にも手を染めるのか』、でしょ?」

      黒猫は一瞬目を大きくしたが、次第になんともいえないといった表情へと変わっていった。

      それだけ長くいるという事なのだろう。
      二人はクスリと笑いあう。

      『ああ、そうだ。理由を聞いても構わないか?』

      「…うん、良いよ」

      猫少年はにんまり笑うと、頷いた。
      「一番の理由は、表だけじゃとても裏の情報を買えないから。
      どんなに頑張っても、俺じゃあ限界があるからな…だってアルバイトだし?」

      大金が動く闇取引や裏情報…そんなモノを、子供の全財産を叩いた所で足元にも及ぶ筈も無く。
      盗み出したり、違法な手段を使ったりする事の方が簡単で正確。
      むろんリスクは手段相応なのだが。それを覚悟した上での選択だ、故に時折大怪我をしたりもする。

      「…情報を買うといっても、周りからすればたいしたネタでも無いモノなんだけどね。でも、それですら金儲けに使うんだから…。やってらんないよ」

      子供に似つかわしくない内容を一通り話し終わると、短いため息で締めくくる。
      ホント世知辛いねぇ。なんて、おっさん臭い言葉が飛び出しそうだ。

      『その上、お前に裏の仕事を頼んでくるお偉様方がいるしな』

      意地悪な笑みを浮かべる黒猫。
      湯舟から上がると、軽く身震いして風呂場を出ていく。

      「それが困る…って、待ってよー!」

      うんうん、と頷いて聞いていたら黒猫に置いていかれた。
      慌てて湯舟から飛び出す猫少年。

      この後、暖炉の前で髪と毛を乾かしながら二人はまだまだ話をしていた。



      今日も明日も明後日も、猫少年は光と闇を行き来するのだろう。

      日常の中のちょっとした物語。
      本が綴った裏話―inside story― | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | - |

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