我輩は猫妖精である

『基本』の『†初めに』には目を通す事!
<< January 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< ☆イベント沢山 | main | ☆クエストイベント終了 >>

光と闇

0
    「にゃふー…。今日も疲れたぁ」

    湯舟に浸かり長いため息をつく猫少年。
    黒猫は専用の湯舟で気持ち良さそうに目を閉じている。

    猫少年は今し方仕事から帰って来たばかりで、お疲れモード。

    「裏の仕事はスリムあって楽しいけど、あまり安心できるもんじゃないよね…」

    ついつい愚痴がこぼれ落ちたりもする。

    『自分で選んでおいて、それはないだろう』

    「う…、それは…そうなんだけど…」

    正論を突いてくる黒猫に、猫少年はぐうの音も出ない。
    垂れてくる長い髪を欝陶しそうに掻き上げて、またため息をついた。

    「でもさ…裏(こっち)側しか得られない事もあるんだよ。…だから……真っ当には、…」

    沈黙。
    暫く間を置いて、黒猫は言う。

    『…それもお前次第だろう?』

    待っててくれている奴もいるんだ、忘れるな。と、短い黒猫の言葉。
    猫少年はゆっくり目を伏せる。
    分かっている。と。

    『…温くなってきた。変えてくれ』

    「…はいはい、今変えるよ」

    クスッと笑い、黒猫の湯舟を新しい湯に変えてやる猫少年。
    黒猫はまた専用の湯舟に滑り込む。

    不器用な黒猫(彼)なりの、気遣い。

    「ねぇ、表(あっち)側でも仕事をしてる理由話した事あったよね」

    『ああ、一度だけ聞いたな』

    「それなんだけど…昔とは少し考え方が変わったんだ」

    そこまで言い、一度口を閉じた。
    黒猫は続きが気になるとばかりに猫少年を見上げる。
    黒猫と目が合えば意地悪く笑い、再び口を開いた。


    「昔は、ただ右も左も、表も裏も知らなくて情報に飢えてた。だからがむしゃらに働いてたわけ。情報を得る為にはお金がかかるし。
    だけど、今は綺麗なお金を残しておきたいなって思うようになったんだ」


    (だって、友達と買い物とかしたいからね。
    汚れたお金じゃ、悪いでしょ?)

    全部言わなくても黒猫には十分伝わっていた。
    フッ、と口の端を上げて笑ったのはそのためだ。

    『それなら…、……いや、野暮か…』

    「…『何故裏にも手を染めるのか』、でしょ?」

    黒猫は一瞬目を大きくしたが、次第になんともいえないといった表情へと変わっていった。

    それだけ長くいるという事なのだろう。
    二人はクスリと笑いあう。

    『ああ、そうだ。理由を聞いても構わないか?』

    「…うん、良いよ」

    猫少年はにんまり笑うと、頷いた。
    「一番の理由は、表だけじゃとても裏の情報を買えないから。
    どんなに頑張っても、俺じゃあ限界があるからな…だってアルバイトだし?」

    大金が動く闇取引や裏情報…そんなモノを、子供の全財産を叩いた所で足元にも及ぶ筈も無く。
    盗み出したり、違法な手段を使ったりする事の方が簡単で正確。
    むろんリスクは手段相応なのだが。それを覚悟した上での選択だ、故に時折大怪我をしたりもする。

    「…情報を買うといっても、周りからすればたいしたネタでも無いモノなんだけどね。でも、それですら金儲けに使うんだから…。やってらんないよ」

    子供に似つかわしくない内容を一通り話し終わると、短いため息で締めくくる。
    ホント世知辛いねぇ。なんて、おっさん臭い言葉が飛び出しそうだ。

    『その上、お前に裏の仕事を頼んでくるお偉様方がいるしな』

    意地悪な笑みを浮かべる黒猫。
    湯舟から上がると、軽く身震いして風呂場を出ていく。

    「それが困る…って、待ってよー!」

    うんうん、と頷いて聞いていたら黒猫に置いていかれた。
    慌てて湯舟から飛び出す猫少年。

    この後、暖炉の前で髪と毛を乾かしながら二人はまだまだ話をしていた。



    今日も明日も明後日も、猫少年は光と闇を行き来するのだろう。

    日常の中のちょっとした物語。
    本が綴った裏話―inside story― | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | - |

    スポンサーサイト

    0
      - | permalink | - | - | - |

      この記事に対するコメント

      コメントする









      この記事のトラックバックURL
      この記事に対するトラックバック
      PR
      SELECTED ENTRIES
      RECENT COMMENTS
      RECENT TRACKBACK
      MOBILE
      qrcode
      PROFILE